
新年あけましておめでとうございます。
年頭にあたり、当センターを代表して一言ご挨拶を申し上げます。
地球温暖化は科学が予測する通り深刻な状況にあります。世界の平均気温は、2023年7月から2024年の6月までの1年間に、産業革命以前の平均気温を1.5℃、歴史上はじめて上回りました。地球が取り返しのつかない変化を遂げるかもしれないと言われる値を超えたのです。
化石資源に依存する文明は転換を迫られており、2050年が転換の節目とされています。世界の趨勢を概観すれば、エネルギーシステムは2050年の脱炭素化に向かっています。日本もその一翼を担うべきです。具体的には、「徹底した省エネ」と「再生可能エネルギーの拡大」を目指す必要があります。
現在、電力以外のエネルギー需要の最大は熱需要です。家庭用の灯油や工場での軽油・重油などの熱需要は、全エネルギー需要の4割近くを占めます。熱需要を非化石化する切り札はヒートポンプです。ヒートポンプは電気を使って、それより多い熱を空気からくみ上げる技術であり、電力消費の何倍もの熱を供給することができます。ヒートポンプを再生可能エネルギーの電気で動かす、というのが次世代の基本技術の一つとなることは、論理的にも技術的にも疑いありません。
ヒートポンプのもう一つの利点は、ヒートポンプの生んだ熱を蓄熱できる点です。再生可能エネルギーの中で重要な太陽光や風力は時間変動という問題を抱えています。電力システムはこれまで、需要に応じて電気を供給する、のが当然と考えられてきました。これからは需要を、供給する場所や時間に可能な限り合わせる、すなわち「需要を供給に合わせる」という視点が重要になります。AIの普及で莫大な電力消費が懸念されるデータセンターは、再生可能エネルギーの供給場所に設置することになるはずですし、工業用電炉は供給時間に合わせて稼働することになるでしょう。
「ヒートポンプ・蓄熱システム」は、この点からも最適なのです。空気中の熱から、効率よく熱エネルギーを生み出し蓄積し、必要な時に取り出すシステムですから、電気需給の調整力を担い、電気の需要の最適化に貢献します。
さらにまた、非常災害時には蓄熱槽水を消防用水や生活用水として活用することもでき、建築物のレジリエンス強化にも貢献することが期待できます。こうした優れた特性もあり、本年には、家庭用給湯機「エコキュート」が、累計出荷台数1000万台を突破する勢いで、家庭分野においても「ヒートポンプ・蓄熱システム」の導入が進んでいます。
ヒートポンプは、日本のメーカーが数多く特許を持つ世界に誇る技術です。
本年も「ヒートポンプ」と「蓄熱」に関する我が国唯一のナショナルセンターとして、「カーボンニュートラル実現の切り札」である「ヒートポンプ・蓄熱システム」の導入が国内外の幅広い分野で普及拡大していくよう最大限の努力を払って参ります。当センターの活動へさらなるご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、本年の皆様のご繁栄とご健勝を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
2025年1月
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
理事長 小宮山 宏
