
新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり、当センターを代表してご挨拶申し上げます。
パリ協定の採択から10年が経過しましたが、地球温暖化はいよいよ深刻な状況にあり、脱炭素社会の実現は人類喫緊の課題です。昨年のCOP30において、我が国は温室効果ガス削減による1.5℃目標の達成に向けた国際的な取組を呼びかけましたが、その一翼を担うには、「徹底した省エネ」と「再生可能エネルギーの拡大」を目指す必要があります。
昨年、我が国のエネルギー政策の基本的な方向性を示す「第7次エネルギー基本計画」および脱炭素と経済成長を両立させることを目指す国家戦略「GX2040ビジョン」が策定され、今後の政策・戦略の方向性に再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、需要側の省エネルギー・非化石転換の取組みにヒートポンプの導入促進が明記されました。また「地球温暖化対策計画」においても、省エネルギーに向けた家庭部門・業務部門・産業部門の重要な対策としてヒートポンプの導入促進が明記されました。カーボンニュートラルの実現に向けて、ヒートポンプはこれまでに増して重要な役割を果たすと考えられ、格段にペースを上げての普及拡大が求められています。
現在、電力以外の最大のエネルギー需要は熱需要であり、家庭用の灯油や工場での重油などが全体の4割近くを占めています。この熱需要を非化石化する切り札がヒートポンプです。電気式のヒートポンプであれば、電力消費量の何倍もの熱を空気からくみ上げ供給することができます。ヒートポンプを再生可能エネルギーの電気で動かす、というのが次世代の基本技術の一つとなることは、論理的にも技術的にも疑いありません。
ヒートポンプのもう一つの利点は、生み出した熱を貯められる点です。再生可能エネルギーの中で重要な太陽光や風力の抱える出力変動に対し、電力システムはこれまで「需要に応じて供給する」ことを前提としてきましたが、これからは「需要を供給に合わせる」視点が重要になります。効率よく熱エネルギーを生み出して蓄積し、必要な時に取り出すヒートポンプ・蓄熱システムは、こうした電気需給の調整力を担い、蓄電池と共に電気の需要の最適化に貢献します。
さらに、非常災害時には蓄熱槽水を消防用水や生活用水として活用できるなど、防災面でも重要な役割を担います。
こうした特性を背景に、家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」が2025年3月に累計出荷台数1,000万台を突破し、普及拡大は着実に進展しています。当センターは、「ヒートポンプ」と「蓄熱」に関する我が国唯一のナショナルセンターとして、国内外の幅広い分野でヒートポンプ・蓄熱システムの普及拡大に取り組み、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
当センターは2026年に設立40周年を迎えます。これまでの歩みを礎に、次の時代に向けてヒートポンプ・蓄熱システムの普及ならびに促進に向けたさらなる挑戦を続けてまいります。
本年も引き続きご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、本年の皆様のご繁栄とご健勝を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
2026年1月
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
理事長 小宮山 宏
