家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の累計出荷台数1000万台突破について

2025年4月11日
一般社団法人日本冷凍空調工業会
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
電気事業連合会
一般社団法人日本冷凍空調工業会(以下「日冷工」)、一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター(以下「ヒートポンプ・蓄熱センター」)および電気事業連合会(以下「電事連」)は、家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート※1」の普及拡大に取り組んでおります。こうした中、お客さまのご理解とご愛顧、そしてメーカー・サブユーザー等、関係者の弛まぬ努力や、近年の政策支援による後押しもあり、本年3月末現在のエコキュートの累計出荷台数(日冷工の統計値)が1,000万台を突破いたしましたので、お知らせいたします。
「エコキュート」について
エコキュートは、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)である大気中の熱を利用する「ヒートポンプ技術」によりお湯を沸かす電気式給湯機です。
省エネルギー性・省CO2性が高く、例えば、家庭用ガス燃焼式給湯器と比較するとエコキュートのCO2排出量は6割 程度となります。一定の前提を置いた試算にはなりますが、1,000万台が全て従来型の家庭用ガス燃焼式給湯器からエコキュートに置き換わったと仮定して単純計算すると、約379 万t-CO2/年※2が削減されると言えます。
ヒートポンプは、熱需要の脱炭素化に向けては現実的な技術であり、2050年カーボンニュートラルの達成には、約3,650万台※3までエコキュートの普及拡大を進めていくことが必要となります。
また、太陽光発電設備等の再エネ電源で発電した電力によりエコキュートでお湯を沸かすことで、「ヒートポンプによる再エネ熱利用」×「カーボンフリー電力の活用」=「給湯需要の脱炭素化」が実現します。
近年、太陽光発電設備等の再エネ電源の大幅な増加により、電力需要が少ない春秋等の端境期を中心に再エネ電源の出力制御が行われております。エコキュートでお湯を沸かす時間を、従来の夜間から昼間にシフトし、再エネ電源で発電した電力を有効活用することで、出力制御を抑制する「デマンド・レスポンス(DR)」としての活用も期待されています。
加えて、再エネとして定義される大気中の熱の活用により、日本におけるエネルギー自給率の向上にも繋がります。
引き続き、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた需要側対策の切り札として、エコキュートの一層の普及拡大を推進してまいります。
「エコキュート」累計出荷台数1,000万台突破に係る各団体代表コメント
日冷工会長 澤井 克行
2001年に発売を開始し、24年で販売数量が累計1,000万台を突破しました。これも皆さまのご支援の賜物であり、誠にありがとうございます。エコキュートは沸き上げ時間を柔軟に変える(上げデマンド・レスポンス)ことが可能であり、太陽光発電の電気を有効活用することが可能となります。製造メーカーとしてカーボンニュートラルの達成に向け、更なる普及拡大を進めていきたいと考えています。引き続き変わらぬご支援の程よろしくお願いします。
ヒートポンプ・蓄熱センター
理事長 小宮山 宏
ヒートポンプ技術は、エネルギー自給率の低い日本において将来的にも必要不可欠な技術です。このたび、エコキュートの累計出荷台数が1,000万台を達成したことは大きな意味を持つものです。
一方で、ヒートポンプの潜在的市場を考えれば1,000万台はあくまで通過点であり、さらなる普及拡大が図られることが必要です。
カーボンニュートラルの実現に向け重要な役割を担うヒートポンプが、これからも地球環境を保全し、持続可能な社会を実現していくうえで大きな役割を担うものと考えています。
電事連会長 林 欣吾
エコキュート累計出荷台数1,000万台突破に向け、ご尽力いただいた関係者に心から感謝を申し上げます。これまでの取り組み等を通じて、現在のエネルギー政策にエコキュートの重要性が位置付けられたことは意義深いと考えています。エコキュートは再エネ熱である大気熱を利用するため、化石燃料依存度を減らし、エネルギー自給率の向上に貢献します。電気事業者としては、供給側の「電源の脱炭素化」とあわせて、需要側の最大限の「電化の促進」に積極的に取り組み、わが国の脱炭素化に貢献してまいります。
「エコキュート」累計出荷台数1,000万台突破に係る統一ロゴについて
日冷工、ヒートポンプ・蓄熱センター、電事連の3団体では、1,000万台突破を記念して、統一ロゴを作成いたしました。統一ロゴは、人をモチーフとしており、「1,000」の数字に、ヒートポンプの循環と笑顔の家族が手を取り合うイメージを重ね、あたたかさと親近感のある、プロモーション・ロゴとなっております。
今後、2025年度内を通じて、本統一ロゴを活用しながら、イベント・展示会の実施等のキャンペーンを展開してまいります。

実施期間:2025年4月~2026年3月末予定
- 新聞等マスメディアによる広告
- 各社ホームページでの掲載
- 各社パンフレット、カタログ等での活用
- 各社が主催するイベント・展示会等での活用
「エコキュート」累計出荷台数1,000万台突破に係る特集ページについて
日冷工、ヒートポンプ・蓄熱センター、電事連の3団体では、1,000万台突破を記念して、日冷工のホームページに特集を組み、ヒートポンプ給湯機のこれまでの軌跡や、 エコキュートへの期待、更なる普及に向けての取り組みなどを掲載いたします。ぜひご覧頂ければ幸いです。
URL:https://www.jraia.or.jp/product/heatpump/10million/
(1,000万台突破記念ロゴをダウンロード頂くことが可能です)

以 上
- ※1「エコキュート」の名称は、電力会社・給湯機メーカーが自然冷媒CO2ヒートポンプ式給湯機の愛称として使用しているもので、関西電力株式会社の登録商標です。
- ※2(966.32-587.50)kg -CO2/台・年×1,000万台 = 378.82万t-CO2/年
【966.32 kg -CO2:従来型ガス給湯器(燃焼式)1台あたり年間CO2排出量】- 投入熱量 都市ガス21.212GJ(年間給湯負荷17.5GJ、熱効率82.5%)
- 熱量 45MJ/Nm3
- 排出係数 2.05kg-CO2/Nm3(環境省公表R6年度実績値)
【587.50 kg -CO2:エコキュート(ヒートポンプ給湯機)1台あたり年間CO2排出量】- 投入熱量 電気5GJ(年間給湯負荷17.5GJ、JIS効率3.5)
- 熱量 3.6MJ/kWh
- 排出係数 0.423kg-CO2/kWh(環境省公表R6年度実績値・全国平均)
- ※3ヒートポンプ・蓄熱センター「ヒートポンプ・蓄熱システム普及拡大に向けた提言書(2024/6/25公表)」に基づく
参考資料(一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター)
第七次エネルギー基本計画におけるヒートポンプ・蓄熱システムに関する記載について
2025年2月18日に閣議決定された第七次エネルギー基本計画において、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた需要側の省エネおよび非化石転換のための重要な対策としてヒートポンプの活用が明記されております。
併せて、再生可能エネルギー電源の導入増加に伴い、電気需給のバランスを調整するための、デマンド・レスポンス(DR)の調整力として蓄熱槽の活用も明記されています。
当センターとしても、このたび累計出荷台数が1,000万台を達成した家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート」をはじめとした、ヒートポンプ・蓄熱システムのより一層の普及拡大に努めて参ります。
ヒートポンプ・蓄熱システムの普及拡大に向けた提言書について
当センターでは、2024年6月に「ヒートポンプ・蓄熱システムの普及拡大に向けた提言書」を公表しており、その中でエコキュートをはじめとしたヒートポンプ・蓄熱システムの今後の普及拡大に向けた課題解決に向けた提言を行っています。
今後とも関係者とも連携のうえ、引き続き課題解決に取り組んで参ります。
- 政策・施策にヒートポンプ・蓄熱システム普及拡大の方向性を明確に反映
- ヒートポンプ・蓄熱システムの導入等にかかるコスト支援の実施
- ヒートポンプ・蓄熱システムの導入促進を目的とした技術支援の拡充
- ヒートポンプ・蓄熱システムの設置主体(開発事業者、施工業者等)への支援
- ヒートポンプ・蓄熱システムの柔軟性(フレキシビリティ)活用促進
- ヒートポンプ技術の特性・利点の認知度向上に向けた働きかけ
お問い合わせ先
一般社団法人日本冷凍空調工業会 企画部
TEL:03-3432-1671
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター 業務部
TEL:03-5643-2402
電気事業連合会 広報部
TEL:03-5221-1440