蓄熱システム特有のデメリット・要注意事項として、配管・機器に腐食やスケール等の進行を招くといった、水質保全対策の不完全による問題が起こることがあります。これら予測困難とされて来た水質問題への設計・施工・運転管理における見落としや放置が、蓄熱システムの評判を落とすこともありました。
本マニュアルは、コミッショニングプロセスに基づき、水質保全管理の必要性を設計時点より明らかにして、配管腐食等の不具合が起きないように、例えば配管種別の選択、断熱・防水剤と工法の選択、二次側水システムの酸素溶存要因の排除計画、運転保守への配慮など、その背後にある理論的背景を理解しつつ、実プロジェクトにて与えられた企画・設計要件書(OPR)に基づいて適正な水質保全のための予防手段を整えることを目的としています。
目次第1章:蓄熱システムの水質保全設計・管理の意義と計画のプロセス
水質保全プロセスの概要を述べています。
第2章:蓄熱システムの水質保全・腐食防止設計
水質保全・腐食防止設計のフローを示し、本書の章節との対応を図っています。
第3章:金属配管の腐食理論と現象
腐食の物理化学的原理を示し、腐食の種類、水質要因との関係、水質管理基準値と腐食性判定法について述べています。
第4章:断熱防水工法と水質汚染
水質汚染原因の一つである建築要素として断熱防水工法材料との関係を述べ、また、湧水処理の方法について詳述しています。
第5章:配管材料と耐食性
配管の腐食原理と様態、配管選定上の注意事項について述べています。
第6章:酸素溶存とシステム要因
腐食環境要因として必須の溶存酸素の増加の要因である、開放水面の問題、2 次側システム配管系からの空気侵入の問題について述べています。
第7章:腐食要因の抑制対策
酸素溶存を防ぐ水面遮蔽法、酸素濃度測定法、水からの溶存酸素脱気法、ならびに腐食抑制材による配管保護法について述べています。
第8章:水質保全の保守・管理
日常的な水質保全管理について述べています。
付録
- 付1 炭酸カルシウム飽和水素イオン濃度(pHS)のノーデル法による簡便計算法
- 付2 水質腐食性の指数
- 付3 水質管理基準値と逸脱時の対策(原案 3.3.6、3.4)
- 付4 インヒビターの種類と特徴
- 付5 配管材料の規格・耐食性
- 付6 蓄熱槽断熱・防水工法メーカーと標準仕様
- 付7 蓄熱槽の断熱範囲
- 付8 浮体遮蔽材の敷設例
- 付9 脱気装置の種類
- 付10 脱気法及び注意事項
- 付11 蓄熱槽上部室内の不活性化
- 付12 「溶存酸素濃度計測」の取付け位置並びに留意事項
- 付13 代表的な不具合事例
- 付14 用語集
- 付15 蓄熱システムのトータルシステムダイアグラム
- 付16 コミッショニングプロセスの概要